滋賀県医師会糖尿病実態調査(6)

滋賀県医師会理事 大西 淳夫
平成27年6月1日 記

滋賀県民の皆様へ

滋賀県医師会は「滋賀県医師会糖尿病実態調査」を平成12年、18年、そして24年と3回行っています。今回は第3回滋賀県医師会糖尿病実態調査結果の最終報告になります。なお、第4回調査は平成30年の10月から11月の2か月間行う予定です。県民の皆様のご協力をお願いします。

追跡可能症例における治療状況の変化

第1回(平成12年)~第3回(平成24年)の調査において、姓名(イニシャル)、生年月日、性別が一致した症例を同一人物とみなして解析対象としました。

1.前回調査(平成18年)との比較

第2回調査(平成18年)と第3回調査(平成24年)の両調査の解析対象者は男性4,085名、女性3,075名、合計7,160名でした。
6年前と比較し、血圧、HbA1c(JDS)、総コレステロール、中性脂肪、non-HDLコレステロールは男女とも有意に低下し、BMIは変化なく、HDLコレステロールは良好な管理が継続しました。
血糖管理では、HbA1c(JDS)は男女とも—0.3%有意に低下しました。治療法では、前回の「食事・運動療法群」のうち、40.3%は同治療法を継続しましたが、59.7%は何らかの薬物療法が開始され、最多開始は経口薬(49.1%)でした。他の群では継続治療が多く、「経口薬群」で79.5%、「インスリン群」で65.0%、「インスリン・経口薬併用群」で66.6%でした。
従来の血糖管理基準で、前回“良”(HbA1c(JDS)値<6.5%)以上であった者のうち、今回も“良”以上の血糖管理ができていた者は68.7%でした。
服薬状況の推移では、降圧薬服薬率は前回50.3%に対し、今回は61.1%に上昇しました。新規降圧薬使用者は33.2%で、前回服薬者の87.9%が継続していました。
脂質異常薬服薬率は前回35.1%に対し、今回は48.7%に上昇しました。新規脂質異常薬使用者は29.5%で、前回脂質異常薬服薬者の83.6%が継続していました。
受診施設は、83.7%が同一施設(病院、診療所)を継続受診しました。病院から診療所への移動は5.8%、診療所から病院への移動は6.3%でした。

2.第1回調査~第3回調査の3回すべての調査での追跡可能症例の推移

平成12年、18年、24年の全ての調査の登録症例が解析対象であり、男性1,155名、女性1,082名、合計2,237名でした。
収縮期血圧、拡張期血圧、HbA1cは第2回調査で若干悪化したものの、今回(第3回)は改善し、総コレステロール、中性脂肪、non-HDLコレステロールは回ごとに改善し、HDLコレステロールは良好でした。
服薬状況は、降圧薬は第1回での服薬なし1,235名中47.8%に服薬が開始され、12年間で約2倍の服薬率となりました。脂質異常薬は第1回での服薬なし1,410名中35.0%に開始され、服薬率は上昇しました。糖尿病薬物治療率、インスリン使用割合は増加傾向を示しました。
血糖管理では、“良”(HbA1c(JDS)値<6.5%)以上の割合は第1回35.2%、第2回25.2%と比較し、今回41.4%と改善しました。12年間“良”(HbA1c(JDS)値<6.5%)以上の者は214名で9.6%でした。
受診施設の変化は、66.7%が12年間、同一施設(病院、診療所)を受診し、再度同一施設に戻った者を加えると、68.8%が第1回と今回、同一施設に通院しました。また、12年間に、病院から診療所への移動は9.0%、診療所から病院への移動は10.2%でした。

詳しくは“平成26年3月滋賀県医師会発行「滋賀県医師会糖尿病実態調査報告書」平成24年10月~11月”をご覧ください。
以上で、滋賀県医師会糖尿病実態調査第1回・第2回・第3回の報告を終了します。次回平成30年の調査までお待ちください。皆様方のご協力で開催されると期待します。
(平成27年6月1日)