滋賀県医師会糖尿病実態調査(5)

滋賀県医師会理事 大西 淳夫
平成27年5月7日 記

滋賀県民の皆様へ

滋賀県医師会が「滋賀県医師会糖尿病実態調査」を実施していることをご存知ですか?
平成12年に第1回目を行い、6年後の平成18年、さらに6年後の平成24年に調査を行いました。前回に引き続き第3回目の調査について報告します。

1.血圧管理状況および推移

降圧薬は全体の57.4%に投与され、第1回50.0%、第2回52.4%に比べて増加しました。血圧の平均値は収縮期・拡張期とも低下し、収縮期血圧130mmHg未満は44.0%、拡張期血圧80mmHg未満は67.9%で、良好な管理割合は前回とほぼ同様でした。

2.血清脂質管理状況および推移

HDL-コレステロール40mg/dl以上は86.2%で良好な管理割合は前回より改善しました。空腹時中性脂肪150mg/dl未満は74.4%で、LDL-コレステロール120mg/dl未満は69.5%で、non-HDL-コレステロール150mg/dl未満は73.9%でした。

3.網膜症検査頻度および推移

年に1回以上の眼底検査施行は全体の49.1%で、第1回45.8%、第2回46.9%と比べ、実施率が上昇しました。

4.尿中アルブミン検査頻度および推移

年1回以上の尿中アルブミン検査施行は全体の37.2%で、第1回21.7%、第2回27.2%と比べ、実施率が上昇しました。糖尿病腎症の病期別は1期(30mg/gCre未満)は64.2%、2期(30~300mg/gCre未満)は28.8%、3期(300mg/gCre以上)は6.9%でした。
糖尿病診療における慢性合併症管理の重要性が認知されてきた状況と思われました。

5.尿検査を含む腎機能検査の実施状況

定性尿検査の実施頻度は全体で79.5%(診療所78.7%、病院80.1%)と高率でした。また、尿蛋白陽性率は全体で17.7%(診療所15.0%、病院19.3%)で、尿中アルブミン検査と合わせると、尿に関する検査全体で85.0%であり、糖尿病診療において腎機能検査への関心の高さが示唆されました。血清クレアチニンの平均値は0.9±0.7mg/dl(男性1.0±0.8mg/dl、女性0.8±0.6mg/dl)でした。平均eGFR値は69.6±22.8ml/min/1.73m2(男性69.5±22.2、女性69.8±23.5)でした。 慢性腎臓病の有病率は全体で43.0%、男性は44.1%、女性は41.8%でした。
なお慢性腎臓病の定義は①eGFR<60ml/min/1.73m2、②ACR30mg/gCre以上、③蛋白尿(+)以上の3項目中いずれか1項目以上を満たすものとしました。

6.歯科受診頻度

年1回以上の歯科受診は全体で29.4%(診療所28.3%、病院30.1%)でHbA1c(NGSP)値6.0%未満で28.1%、7.0%未満で30.3%、8.0%未満で29.9%、8.0%以上で27.0%と差を認めませんでした。

次回はこの続き「追跡可能症例における治療状況の変化」を掲載する予定です。
(平成27年5月8日)