滋賀県医師会糖尿病実態調査(4)

滋賀県医師会理事 大西 淳夫
平成27年4月24日 記

滋賀県民の皆様へ

滋賀県医師会が「滋賀県医師会糖尿病実態調査」を実施していることをご存知ですか?
この実態調査は平成12年に第1回目調査を行い、18,589名の糖尿病患者様が、6年後の平成18年に実施した第2回目の調査では、19,039名の糖尿病患者様が、さらに6年後の平成24年に実施した第3回目の調査では、24,811名の糖尿病患者様が登録されました。実に5,772名の登録者数の増加を見ました。最終的な解析対象症例は24,243名となりました。県民の支えがあってこそと感謝します。

1.糖尿病患者の特徴とその推移

年齢:年齢分布のピークは、男女とも60歳代であり、40歳以上が全体の96.8%、60歳以上が76.1%でした。
BMI:BMI25以上を肥満と定義しますと、該当者は41%であり、糖尿病患者における肥満者の割合が増加しました。
HbA1c:全体ではHbA1c(NGSP)値は7.1±1.1%でした。JDS値で過去2回と比較すると、男女とも約0.2~0.3%低下し、全体的な血糖コントロールの改善を認めました。
血圧:全体では収縮期血圧131.6±15.9mmHg、拡張期血圧73.8±11.1mmHgでした。
血清脂質:全体では総コレステロール184.8±36.2mg/dl、中性脂肪146.7±108.9mg/dl、HDLコレステロール55.1±15.8mg/dlで、LDLコレステロール実測値は106.5±29.1mg/dlでした。

2.糖尿病患者の治療状況とその推移

病院ではインスリン単独、インスリンと経口薬の併用が多く、一方、診療所では食事・運動療法、経口薬治療が多くなりました。経年的な推移をみますと、病院、診療所ともに、食事・運動療法群は減少し、経口薬群が増加、インスリン治療(経口薬との併用)群が増加しました。また今年度はGLP-1製剤治療が加わりました。

3.糖尿病患者の血糖管理とその推移

全体でHbA1c(NGSP)値6.0%未満は10.7%、7.0%未満は46.6%、8.0%未満は27.1%、8.0%以上は15.7%でした。HbA1c値7.0%未満は57.2%でした。
治療法別では、HbA1c値7.0%未満は、食事・運動療法群で86.3%、経口薬群で59.1%、インスリン群で41.2%、インスリン・経口薬併用群で30.4%、GLP-1群で51.6%でした。
前回の血糖管理基準で比較しますと、“良”以上(HbA1c(JDS)値<6.5%)の割合は、食事・運動療法群で73.7%から80.8%へ、経口薬群で33.8%から51.3%へ、インスリン群で21.3%から35.6%へ、インスリン・経口薬併用群で13.5%から24.2%へ、それぞれ改善を認めました。一方、“不可”(HbA1c(JDS)値≥8.0%)の割合は食事・運動療法群で2.5%から1.6%へ、経口薬群で17.4%から7.4%へ、インスリン群で28.1%から17.9%へ、インスリン・経口薬併用群で37.1%から22.2%へ、それぞれ減少を認めました。

4.肥満糖尿病患者の増加および特徴

糖尿病患者で肥満者(BMI≥25)の割合は第1回目調査より継続して増加の傾向でした。特に50代までは患者の半数以上が肥満に該当しました。
BMI別に血糖、血圧、血清脂質についてみますと、BMIが上昇するに従い、HbA1cは上昇し、血圧・血清脂質についても管理不良となり、服薬状況でもBMIが上昇するに従い、すべての服薬率が上昇しました。血糖・血圧・血清脂質に関する3剤の併用率は、BMI<19で14.3%、BMI19~25で24.5%であるのに対し、肥満者で34.6%に達しました。

次回は続きを掲載する予定です。
(平成27年4月30日)